• インドのクレジット・クランチは海外投資家にとっての参入チャンスか?
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インドのクレジット・クランチは海外投資家にとっての参入チャンスか?

不動産成長市場であるインド、その不動産市場はいまノンバンクから端を発したクレジット・クランチに陥っている。ノンバンク金融事業会社(NBFC) 大手IL&FS社の社債及びコマーシャルペーパーが2018年後半にデフォルト、さらに住宅金融会社(HFC)大手DHFL社もこれに続いた。結果ノンバンク全体の信用低下を招いた。そのためノンバンクの資金調達が困難となり貸し渋りが深刻化。元来、ノンバンクは銀行と比較した使いやすさ(簡素化された申込みプロセス、素早い意思決定、低額の要求デポジットそして柔軟性など)が支持され、その不動産貸出額は2014年から3017年にかけて二桁成長を続けていた。不動産市場での資金流動性が著しく低下しており、今年はその貸出額がさらに前年比で半減することが見込まれている。

一方で同国の不動産ファンダメンタルズは良好だ。そもそも住宅供給が急ピッチで進む背景には低所得者層への対応以外にも25才以下の若年労働者6億人に対する職住環境提供がある。オフィス市場の空室率は一見すると10%以上と高いが、これは同国の都市化率34%が示す通り、都市整備段階における建設ラッシュが統計指標に影響を与えている側面が大きい。実際には中心ビジネス街区(CBD)のプライム立地では5%以下の水準で推移している。GDP成長率が減速が懸念されるなかでもプライム立地ではIT/BPM系テナント企業が力強い需要の伸びを記録しており、テナント企業は新たな空き区画を待つという状況が常態化している。小売市場でも米国と中国に次ぐ消費者市場を擁する同国は、2020年にかけて300以上の国際的ファッションブランドの参入が試算されている。このように同国のファンダメンタルズには不安要素が少なく、つまりは今回の問題は資金面における需要と供給のミスマッチということになる。

政府は住宅市場を下支えるべく、建築中の住宅に関わるGST(消費サービス税)の軽減税率適用を決定。さらに完成間近のアフォーダブル住宅と中間収入層向け住宅に対して政府がラストマイル・ファンディングを条件付きで提供開始するなど、継続した住宅供給を維持する取り組みを続けている。また海外投資を改めて促すため、9月には海外投資家に対するキャピタルゲイン増税策を撤回するまでに至った。インド準備銀行も対策を講じている。2018年中には原油高による物価上昇並びに米国利上げを背景としたルピーの対米ドル下落により政策金利引き上げを継続していたが、2019年に入り金融緩和へ舵を切った。今年は既に5会合連続で引き下げ(2018年末時点6.50%、11月時点5.15%)を行っている。現時点では直近の法人税減税導入にポジティブ要因としてルピーは上昇基調に転じている。この一連の流れによって、同国は不動産デット市場としての魅力を高めている。同国で不動産開発を検討する場合、商習慣の違い以外にも建設許認可をめぐる不確定要素が多く参入障壁を高めていた。しかし、竣工前開発案件へのラストマイル・ファンディング投資であればこのリスクも軽減される。堅調なファンダメンタルズに下支えされた資金需要、外国投資家に対する増税撤廃とルピー安など、海外投資家にとって追い風が吹いており、インド市場への参入を再検討する良いタイミングと見るべきかもしれない。

 

上記の記事は株式会社 不動産経済研究所の11/15号『不動産経済ファンドレビュー』にグローバルレポートとして掲載されました。

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